【音楽朗読劇凛音×天声 ご挨拶】
初めまして。
音楽朗読劇「凛音×天声」の脚本・演出を担当します劇作家の江嵜 大兄(えざき おひね)です。
何故、木曽義仲を主人公にしたのか?
僕の周りにいる多くの人たちから、そう尋ねられました。
それもそのはずです。義仲が生きた平安時代末期には大河ドラマにもなった、平清盛。鎌倉幕府を開いた、源頼朝。悲劇の武将、源義経……等々、物語の題材になりそうな人物が多く存在するのです。
それなのに、何故、木曽義仲なのか……?
歴史書では悪人として描かれることも多い木曽義仲。歴史漫画ではひげ面の大男として描かれることの多い木曽義仲。郎党の巴御前のほうが断然有名な木曽義仲。教科書にもほとんど載ってない木曽義仲。
だけど、僕は学生の頃から義仲に惹かれていました。
それは、義仲が友だち思いだったからです。
親兄弟で殺し合うのが常日頃だった平安時代末期に、義仲は幼馴染と旗揚げして、たった4年で天下の大将軍となり、田舎者だったから敵をいっぱいつくって、最期は幼馴染と共に死んでいきました。
そんな義仲の一生を芥川龍之介はこう言い表しています。
「彼の一生は失敗の一生なり。彼の歴史は蹉跌の歴史なり。彼の一代は薄幸の一代なり。然れども彼の生涯は男らしき生涯なり」
今作「凛音×天声」では、僕が頭の中に思い続けてきた木曽義仲を描きます。
歴史書にも教科書にもどこにも載っていない木曽義仲。
義仲の人生が僕の心に残っているように、願わくば、観に来てくださったお客様の心に残る作品となるようキャスト、スタッフ一丸となって励んでいます。
ご来場、心よりお待ち申し上げております。
江嵜 大兄